帰化申請解説の基本ページはこちら
各ブログの詳細を読みたい方は,各記事の下にある『詳細情報』をクリックしてください。
終活としての帰化申請
「終活」ブームといわれるようになって10年ほどになります。
帰化申請をされる方の中には「終活の一つとして帰化をしたい」と言われる方も増えてきました。
子供たちに迷惑をかけたくない,将来的に発生するかもしれない煩雑な手続きをなるべく少なくしておきたいといった理由が多いようです。
帰化している場合としていない場合で異なる点について一例をあげると,亡くなった方が韓国籍の方の場合であれば,死亡届を提出する場合,日本の役所だけでなく韓国側(通常韓国領事館など)にも届出が必要です。
その際死亡届の受理証明書などを取得して,それを韓国語に翻訳し,領事館に持参していただくことになります。
在日韓国人の中でも,3世,4世となると韓国語ができないといった方も多く,こういった手続きがご負担になるケースが少なくありません。
また,相続手続きにも大きく影響してきます。
日本の相続手続きは「出生した時から死亡するまでの戸籍」が必要となりますので,韓国領事館で出生時の韓国の戸籍から取得をする必要があります。
帰化をした場合,相続に関する韓国書類は「出生した時から帰化するまでの戸籍」となり,帰化後については日本の戸籍で確認が可能となります。
帰化後に,自筆証書遺言を作成しているといった場合も「検認」という手続きをする際に結局「出生した時から死亡するまでの戸籍」が必要となりますので,帰化をされた方の場合,公正証書遺言を作成することをおすすめしています。
帰化許可後に必要な手続き
昨年の12月に国籍喪失申告についての投稿をしましたが,当社で国籍喪失申告を行った方々がつい先月,無事に手続き完了となりました!
受付から約3か月程での結果受領で,申告時は「6~7ヵ月程かかります」といった案内でしたので,予想よりもかなり早く完了しました。
帰化申請からご依頼いただき,帰化許可後の国籍喪失申告まで当社でサポートさせていただいたご家族であったため,
国籍喪失申告自体はそれほど複雑な手続きではないものの,受理された時は私たちも大変喜びました。
昨年頃から,出生申告など申告関連の遅延について窓口で注意されることやケースによっては罰金がかかるといった案内がされることが増えてきました。
また,相続手続きの際に帰化された方が死亡した場合,韓国側に帰化の届出がされていなかったといったご相談もございます。
こういった事態を未然に防ぐという意味でも,また,韓国戸籍をきちんと整理しておくという意味でも,帰化が許可になった後は国籍喪失申告を行っておくことをおすすめしています。
(国籍喪失申告には日本のパスポートが必須である点ご注意を!)
先日,出張で韓国の済州島に行ってきました。
済州島はいたるところにトルハルバンがいますね(^^)
韓国・特別永住者の帰化申請は簡単?
「韓国・特別永住者なんですけど帰化申請は簡単ですよね?」というご相談が定期的にあります。
「簡単」というのが具体的にどういうことを指しているのかは相談者毎に違うのですが,帰化の条件や必要な書類のご説明をすると多くの方が「思っていたより難しそうですね。」という反応をされます。
確かに特別永住者については,帰化の動機書や在勤・給与証明書,最終学校の卒業証書の写し等の書類が不要だったり,国籍法第6条に該当したりと,そうではない方と比較すると「簡単」といえるかもしれません。
ただ,日本生まれ日本育ちという状況の特別永住者の方についてはその多くが韓国語の読み書きができません。
そういう意味では,母国語+日本語が話せる外国生まれの方のほうがご自身で翻訳作業ができるので「簡単」かもしれません。
ここで帰化申請の大まかな流れを説明します。
- 1.住所地管轄の法務局に行き,初回相談を受ける
- 2.申請に必要な韓国の書類を収集する
- 3.韓国語を日本語に翻訳する
- 4.申請に必要な日本の書類を収集する
- 5.収集・翻訳した書類一式を基に申請書類を作成する
- 6.法務局で申請書類のチェックを受ける
- 7.指摘された点を修正する
- 8.再度,法務局に行き,申請書類のチェックを受ける
- 9.次回受付可という指示が出れば,申請受付日を予約する
- 10.受付完了後は面接連絡を待つ
- 11.面接日が決まったら追加書類を持参して面接を受ける
- 12.許可・不許可の結果を待つ
以上です。
この流れは特別永住者もそうではない方も同じです。
日本の書類を収集したり,申請書類を作成するという点においては日本語が堪能な特別永住者のほうが「簡単」かもしれません。
一つ言えるのは,帰化申請の手続きは相対的には簡単でも絶対的には簡単ではないということです。
子供だけ帰化申請できる?
2月にはいり,そろそろ卒業や進学の時期が近づいてきたせいか,お子様の帰化申請についてのお問い合わせを多数いただいております。
高校を卒業し大学で留学をする予定の方や,大学を卒業し就職をする方など,節目の時期に帰化を考えられる方は多いですね。
親御様が帰化申請をするつもりはなくても,お子様だけで帰化できるかどうかについては,お子様の年齢やご両親の国籍などケースによって異なります。
・未成年である
⇒「十八歳以上で本国法によって行為能力を有すること」という要件を満たさない
・来日してから5年経過していない
⇒「引き続き五年以上日本に住所を有すること」という要件を満たさない
といったように国籍法に定める要件を満たさない場合は,お子様だけでの申請が難しく,ご両親のどちらかと一緒であれば帰化申請が可能になるケースもあります。
しかし上記のように一見要件を満たさないと思っても,お子様だけで申請ができる例外的なケースもあります。
・日本国民の養子で,引き続き一年以上日本に住所があり、養子縁組をした時本国法により未成年であった場合
・元日本国籍者で日本に住所がある場合
など,こういった場合でその他の要件も満たしている場合は,お子様だけでの申請も可能です。
ご家庭のご事情によって様々なので,あきらめずに一度当社にご相談ください。
韓国領事館での申告について
昨年より韓国への旅行が解禁されたこともあってか,最近韓国領事館を訪れると,ビザ申請やパスポート手続きのため,連日多くの人で賑わっています。
そして,当社もよく韓国領事館を訪問します。ビザ申請やパスポートの手続きのため…ではなく,韓国戸籍関係の手続きのためです。
具体的には,韓国戸籍の取得と戸籍に関する申告(婚姻,出生,死亡申告等)を代理で行っています。
当社に帰化申請を依頼された方の申請に必要となる韓国書類を代理で取得することが一番多いですが,最近では戸籍に関する申告のご相談をいただくことも増えてきました。
つい最近も,韓国への死亡申告のご依頼をいただきました。
ご依頼人様が予め準備されていた資料のおかげで,かなりスムーズにお話が進んだのですが,一点だけ新たにご提案をしたことがありました。
死亡した事実を確認するものとして,日本の役所で発行された「死亡受理証明書」もしくは「死亡届記載事項証明書」を求められるのですが,これはどちらを出しても受理されます。
しかし,この証明書は韓国に提出するものなので,当然翻訳文が必要となります。
そのため,どちらを提出しても問題はありませんが,書類の翻訳費用に差が出てきてしまうのです。
「死亡受理証明書」より「死亡届記載事項証明書」の方が詳しく記載されている分,一般的に翻訳費用も高くなります。
今回のご依頼人様は記載事項証明書をご持参くださったのですが,ご負担を少しでも軽減できればと,受理証明書を案内させていただきました。
申告内容やご相談をいただいた時期に寄って,ご案内する内容ももちろん変わってきますが,当社ではご依頼人様の状況に合ったご提案をさせていただきますので,ぜひお気軽にお問い合わせください。
確定申告義務のある方の帰化申請
令和4年分の確定申告の時期が近付いてきました。
今年は2月16日(木)から3月15日(水)までが申告書の受付期間です。
帰化申請するうえで「確定申告書の控え」は必須の書類となりますので,確定申告した方は必ずその控えの書類やデータを保管しておいてください。
特別永住者の方と特別永住者ではない方で必要な年数は違いますが,過去3年分あれば一旦は大丈夫です。
既に処分してしまった等によりお手元に無い方については税務署の窓口で再発行してもらうことが可能です。
ただし,再発行までに早くても1ヶ月以上かかる可能性がありますので,帰化を急いでいる方は早めに動く必要があります。
なお,確定申告義務がない方は勤務先発行の「給与所得の源泉徴収票」があれば問題ありません。
年金受給中の方は「公的年金等の源泉徴収票」が必要です。
帰化申請において申告内容はとても重要で,内容によっては審査結果を左右することもあります。
そのため,帰化を検討されている方は内容に不備がないか慎重に確認したうえで申告してください。
帰化申請書類の中では本国書類と同じぐらい確定申告書の内容は重要です。
もし当社への帰化相談を予定されている場合は確定申告前にご相談ください。
今週は大雪の影響で出社できない従業員が出るなど大変なこともありましたが,普段からリモートワークを導入していたため事なきを得ました。
【お知らせ】
先日,大阪法務局本局の庁舎が移転しましたので,今後の帰化の手続きはこちらで行われることになります。
https://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/tyousyaiten.pdf
当社の最寄り駅は「堺筋本町駅」なので乗り換えする必要がなくなり嬉しい限りです。
帰化をしたのに韓国籍のまま?
日本国籍に帰化された元韓国籍の方の中で,相続などの手続きのため,帰化後にも韓国の戸籍を取得しなければならない,という機会が意外とよくあります。
そんな時,韓国の戸籍を請求してみると,ある事に気が付きます。
「あれ?何年も前に帰化をしたのに,韓国籍のままになっている…?」
なんと,帰化が許可されて日本人になっているのに,それが韓国の戸籍に反映されていないのです。
通常,帰化許可になると,韓国領事館に「国籍喪失申告」を行わなければなりません。
しかし,韓国側でも定期的に戸籍の整理が行われており,帰化した方は整理の際にその事実が反映され,韓国戸籍から除籍されます。
国籍喪失申告をしなくても,ある程度時間が経てば自動的に韓国戸籍から除籍されるので,
国籍喪失申告を行っていないという方も多くいらっしゃいます。
ところが,何らかの理由で韓国側に帰化事項が反映されず,韓国戸籍に残ったままになっていることが稀にあります。
(昔の手書き戸籍から電算化される際に抜け落ちてしまった,という話もありますが真実は分かりません。)
日本側で帰化されているので,韓国側の書類上,韓国籍のままになっていても問題となることはあまりないとは思いますが,
提出先や使用用途によっては,韓国側の書類にも帰化事項の記載が必要と言われてしまう可能性もあります。
国籍喪失申告は,申請してから反映までに時間がかかるため,
急いでいる場合は,なかなかもどかしい思いをされることになるかと思います。
韓国側での帰化反映の有無は,韓国書類を取得して初めて分かることなので,
気になる方は一度書類を取得してみられるのも良いかもしれません。
年末調整と帰化申請
今年も残すところあと1ヶ月となりました。
段々と寒さが厳しくなってきましたが,先日移転してきたばかりの新しいオフィスで心機一転,初心を忘れずにさらなる飛躍を目指します。
この時期になると勤務先で始まるのが年末調整の準備です。
年末調整は会社の義務となっており,これを行うことで従業員の正しい所得税額が算出されます。
帰化申請に必要な書類としては,「給与所得の源泉徴収票」があります。
直近3年ほどの間に転職がなければ前年分のものがあればまずはOKです。
次に,そこに記載されている内容が重要です。
よくある不備として,「前職の源泉徴収票を新しく入社した会社に提出していない。」ということがあります。
この場合,正しい税額を納税できていない可能性がある,ということを理由に帰化申請することができませんので,税務署で確定申告をして是正する必要があります。
ただ,そうはいっても正しく年末調整できているのかどうか分からない方も多いと思います。
その場合に見て頂きたいのは源泉徴収票の「摘要」の欄です。
そちらに前職の情報(会社名,支払金額,社会保険料額など)や年末調整未済と記載されていますので,不備の有無が簡単に分かります。(年末調整未済とは,年末調整が済んでいないという意味です。)
ちなみに,前年から勤務していた方の源泉徴収票の「摘要」の欄は空欄で何も記載されていないことが多いです。
もし,年末調整が正しくできていない状態で帰化申請をした場合,「住民税の所得課税証明書」と照らし合わせた際に収入金額が合わないということになり,不備が判明したタイミングで法務局から指摘を受けることになります。
そのような後手の対応にならないためにも申請する前に源泉徴収票の内容をよく確認しておくことをおすすめします。
また,グループ会社に所属変更になった場合や非正規から正社員になった場合など,同じ会社で入退社があった場合にも年末調整に不備が発生していることが多いので,そのようなご経歴のある方はくれぐれもご注意ください。
帰化申請をするベストタイミングとは?
帰化申請には色々な要件があり,それらをクリアしてかつ日本国籍を取得してもいいと判断されてやっと,許可となります。
生計要件を例に挙げると,「年金を納付しているか」という点については,
何年納付しているか?過去に未納はないか?未納があるとすれば,いつからいつまでなのかなど,今納付しているから大丈夫とは一概に言えません。
「安定した収入があるか」という点についてはいつから安定しているか?これからも安定しているか?など継続性も必要になるでしょう。
また,年金や税金の納付については生計要件でもありますが,
素行善良要件に関わる部分でもあります。
上記のように,一つの要件も一見クリアしているように見えても,総合的な判断した場合に要件が不足している場合があります。
20代30代の方は特に,学生から社会人となり,転居や転職,結婚や出産などめまぐるしく生活状況が変化しているのではないでしょうか。
だからこそ,いつか帰化申請をしようと考えているのであれば,申請ができる状態が整っている時にする,「できる時にする」というのがベストなタイミングだと思います。
韓国領事館で証明書を取得するためには
日本にお住まいの韓国人の方,特に日本生まれの韓国人の方は,婚姻や相続などの様々な手続きの際に,何かと韓国側の証明書を求められることがあるかと思います。
そうなった時に,日本に居ながらにして韓国の書類を取得できる唯一の場所が,日本国内にある韓国領事館ですよね。
では,韓国領事館に訪問さえすれば,何の問題もなく証明書を発行してもらえるのでしょうか?
答えはNOです。手ぶらで行っても,残念ながら何も発給してもらえません。
誰が誰の証明書を申請するのかにもよりますが,基本的には申請書と身分証は必須で求められます。
そして,証明書申請において何よりも大事なことが,韓国での登録基準地を把握して訪問する,ということです。
登録基準地とは日本でいう本籍地のようなものであり,住所とはまた別で各々が持っています。
しかし,2008年に戸籍制度が廃止された韓国では,自分の登録基準地を把握している人は中々いません。
ましてや,日本生まれの韓国人の方であれば尚更調べるのが難しいかと思います。
しかし,昔,親戚が取得したことのある韓国の書類を偶然見つけ,自分の登録基準地を知ることが出来た!というケースも多々あります。
そうなればラッキーなケースですが,探しても探しても見つからない,という方も少なくありません。
その場合は,自分の登録基準地を調べる方法もありますが,1~2か月程の時間がかかってしまいます。
相続手続きなどでは,出来るだけ早く書類が必要ということもあります。
これから帰化申請を考えている方,ご結婚を考えている方,親族の相続が発生しそうな方は,いざという時に備えて,
時間があるときに,一度ご自分の登録基準地を調べておくことをお勧めします。