日本人と離婚した後ビザはどうなる?
日本人と国際結婚し,配偶者ビザ(結婚ビザ)を取得し日本で生活しておられる方は,2017年末の段階で約14万人おられます。皆様の周りでも,国際結婚されたご夫婦は珍しいものではないでしょう。
しかし,同時に日本人と離婚される方も増えており,外国籍の方にとっては,日本人と離婚した場合に自分のビザがどうなるのかということは,切実な悩みになっていると思います。配偶者ビザの方が日本人と離婚した場合,当然にそのままのビザで残れるということにはなりません。
そこで
に状況を分けて,どのような手続きを取るべきか説明します。
〇離婚はしていないものの,別居するなど実質的には婚姻が破綻している場合
日本人と離婚する場合は,いきなり離婚するのではなく,夫婦関係が徐々に悪化し,婚姻破綻の期間を経てから離婚する場合も多いでしょう。仮に,夫婦関係が悪化し,夫や妻と別居している間に在留期間の更新時期が来た場合,通常通り在留期間の更新ができるのでしょうか。
答えは,「No!」です。
配偶者ビザは,配偶者と法律上結婚しているだけではなく,婚姻の実体といって,夫婦として生活することが前提となります。(※配偶者ビザの基本的な要件は,このページをご覧ください。)
そのため,日本人の配偶者ビザの方が,配偶者別居し,夫婦として生活していないような場合は,通常通りの在留期間更新を行っても,追加資料の提出を求められたり,場合によっては不許可になる場合もあります。
配偶者と別居になっている場合で,仮に現在関係修復に向けて話し合いを続けたり,離婚調停をしており,回復にの可能性があるのであれば,その旨を詳細に説明し,今後の予定等を記載した説明書をつけて配偶者ビザの更新をすべきです。その場合,許可されたとしても,許可される在留期間は「6月」になる可能性が高いといえますが,関係修復後に再度在留期間の更新をすれば,「1年」の在留期間に戻る可能性があります。
また,配偶者と別居になっている場合で,関係修復の可能性がなく,離婚に向けて動いている場合は,基本的には実際に離婚した場合と同じ対応になります。以下の離婚した場合をご覧ください。
残念ながら,日本人の配偶者と離婚した方は,まずは入国管理局へ離婚した旨を届け出てください。届け出は,離婚届を役所へ提出した日から14日以内となります。詳細は,法務省の『配偶者に関する届出』のページをご覧ください。
その後,できる限り早く配偶者ビザから他のビザへの変更を検討する必要があります。配偶者ビザの方は,離婚してから6カ月以上経過すると,在留資格を取り消される可能性があります。平成29年に,在留資格取消に関する制度強化が図られたことから,まだ在留期間が残っているからといって,離婚した後に何にも手続き行わず,そのまま残り続けることは危険です。
では,離婚した後,ビザはどうすれば良いのでしょうか。
まず第一に検討されるのは,「定住者」の在留資格への変更です。
これは,離婚定住や実子扶養定住などと呼ばれ,配偶者ビザを取得している方が離婚した場合に,定住者のビザへ変更できる可能性があります。
色々と要件はありますが,主な要件は,
①日本人と結婚し,夫婦として生活を開始してから3年以上経過していること
又は,
①日本人との間の子供の親権者であり,子供と一緒に生活していること
②これからも日本で生活を続けるための十分な収入があること
となります。
仮に,日本人と結婚してから3年経過しておらず,夫婦の間にお子様がいない場合は,定住者のビザへの変更は難しいと思います。
その場合,大学を卒業された経験がある方や,十分な実務経験がある方は,就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)へ変更したり,ご自身で事業を経営されている方は,投資ビザ(経営ビザ)へ変更する可能性を検証することとなります。
なお,婚姻期間が3年経過していなかったとしても,離婚原因が配偶者の暴力が原因のような場合は,その事情を考慮して,定住者ビザへ変更できる可能性もあります。
いずれにしても,日本人と離婚した場合,在留期間が残っていたとしても,配偶者ビザのまま残り続けることは困難です。在留期限が迫ってから申請すれば良いと考える方もおられるようですが,離婚してからの期間が長くなればなるほど,申請の際に不利となります。
そのため,日本人と離婚になってしまった場合は,できるだけ早く,定住者ビザなどほかのビザへの変更を考え,迅速に対応することが大切です。
当事務所では,離婚後のビザについても取り扱っていますので,ご遠慮なくお問い合わせフォームよりお問い合わせください。