永住ビザ・永住権申請と理由書-何を記載すべきか
last update:2020.1.31
永住ビザ・永住権のお問い合わせで多くあるご相談が,「理由書」をどのように作成したら良いのかというご相談です。「理由書」ですので,なぜ永住ビザ・永住権を申請したいのかという点を記載すれば良いのですが,今回は理由書作成にあたっての簡単な注意点をお知らせします。
永住申請の理由書に記載すべき項目
永住申請の理由書へ記載すべき項目は,明確には定まっていません。ただし,概ね以下のような項目を記載することが多いです。
・今までの学歴や職歴
・今の仕事の内容やこれからの業務予定
・永住申請にあたってのマイナス事情の説明
・今までの日本社会への貢献
・今後の日本での生活予定,将来の目標など
以上のような項目をふまえ,お客様のご事情によって何を記載すべきかカスタマイズすることになります。
例えば,過去に転職された方の場合は,転職してからの仕事内容や,収入状況,これからも引き続き働き,安定した暮らしを続ける旨を記載すべきだと思います。
また,今のビザを更新するのではなく,なぜ永住したいのか,日本に永住することを決めたきっかけや永住権を取得してからどのように日本で過ごす予定なのか,ある程度具体的に記載すべきでしょう。
また,在留期間更新や変更の場合と異なり,永住申請の場合は,来日してからの全ての事情が入国管理局にて審査されていると考えた方が良いです。
入国管理局は,一番最初に在留資格認定証明書を取得した時から,その後の更新,変更など各種手続きで提出した書類のデータを全て保有しています。そのため,永住許可申請時と過去の申請時の内容のズレなども確認されています。
また,永住許可申請は原則10年間の在留が条件となっています。例外として,高度人材に該当する方はもっと短い期間(3年,又は1年)での永住許可の可能性もあります。
ご自身が滞在していた期間がどのような経緯だったのか,例えば学歴や職歴の変遷や,なぜ転職したのかなども記載した方が良いといえます。
不利(マイナス)な事情がある場合
過去に年金の未払いや,転職により無職の期間があるなど,永住許可申請にあたってマイナスと考えられるような事情がある方は,永住申請の理由書の中で説明するか,または別紙で説明文を作成した方が良いでしょう。
永住許可申請は,2019年7月より提出書類が大幅に増え,年金や保険料の納付に関する書類の提出が必須となりました。当事務所でも,年金や年収に関するお問い合わせが非常に増えてます。
年金については,基本的に年金記録を開示すると,来日後の年金加入時期から現在までの全ての納付記録が開示されます。日本へ留学生として来日されている方の場合,学生時代は年金に関し何も手続きをとっていない方も多く,学生時代の記録は「未納」といった形で記録が出る方も多くいます。
現在,年金は納付期限から2年以内のものについて支払いが可能です。
(免除申請などしていた期間は,10年間支払いが可能です)
そのため,過去2年以内に年金の未納がある場合は,永住申請において相当不利になると考えた方が良いです。
これに対し,例えば7年前の学生だった期間に未納があり,その間の年金は既に支払えない状態になっている,働き始めてから7年間は社会保険でずっと年金を引かれていたといった方の場合は,学生時代の年金未納のみで不許可となりにくい傾向にあります。
しかし,この場合でも,なぜ支払っていなかったのか,その反省の弁などを理由書へ記載しておくことをお勧めします。
その他,不利になると考えられる事情については,なぜそのような事態になってしまったのか,これからどう対策していくのかなど,しっかり反省して今後同じことを行わないよう誓うなど,入国管理局へ訴えていくことが必要だと考えられます。
永住申請で理由書は必須なのか
現在就労ビザの方については,基本的に理由書は必須になると考えておいた方がよいです。
これに対し,配偶者ビザの方については,永住申請で理由書は提出が必須の書類にはなっていません。一応,永住許可申請書に永住申請の理由を記載する欄があり,そこに記載した内容で永住希望の理由が分からない場合に,別紙で理由書を求めているようです。
なお,大切なのは今までの経歴や納税状況等ですので,理由書の書き方だけで永住申請の結果が大きく異なることはないと思われますし,永住希望の理由が不明確の場合は,資料提出通知書等で,詳細な永住の理由を質問してくると考えられます。
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