帰化申請は家族全員でしないといけないって本当?
帰化申請について調べていると,「帰化申請は家族でした方が良い」と書かれているページがあったりしますよね。
帰化申請は絶対に家族全員でしないといけないといったことはありません。20歳以上であり,帰化の要件を備えている場合,単独での帰化申請ももちろん可能です。
でも,確かにご家族で帰化申請をすることには大きなメリットがあります。家族で帰化する場合,自分一人で帰化する場合など。
色々なパターンについてここでは解説しています。
まず帰化申請をするうえでポイントとなるのは,帰化申請は主に生計面など 「世帯」での審査が行われるということです。
そのため,家族5人で生活していてその中で1人だけ帰化申請をするといった場合,帰化をする人だけでなく,帰化申請をしない人もある程度の書類を提出する必要があるのです。
4人家族の世帯を例に考えてみましょう。
父,母,兄と自分の4人世帯の方の場合,自分だけが帰化申請を希望していても,他3人の書類もいくつか必要になります。
住民票
課税証明書・納税証明書
両親の結婚に関する書類
父・母・兄が働いている場合は給与明細源泉徴収票
確定申告をしている場合,確定申告書
などが必要になります。
そのため,一緒にするか迷っている,という状況なのであれば,一緒にしてしまった方が良い場合もありますので,ご家族でご検討されることをお勧めします。
これは自分一人での収入に不安がある方にとっては逆にプラスにも考えることができます。
自分一人では収入は少ないといった場合,同居家族の生計も一緒に審査をしてもらうことができるため「自分の収入+家族の収入」といった考え方ができるからです。
このように考えると,収入の少ない大学生などであっても同居している両親の収入によって生計を維持しているのであれば帰化申請をすることが可能です
申請は可能。
でも気をつけないといけないこともあります。
「中国人夫婦で夫と子供だけ帰化申請したい」「子供たちだけ韓国国籍から帰化申請したい」といったご相談はよくあります。
親子や兄弟姉妹でも帰化申請を希望する方もいればしない方もいて,考え方はそれぞれなので,家族の申請意思にかかわらず申請は可能です。
しかし実務上は申請時や面接時に他の家族が一緒に帰化申請をしない合理的な理由の説明を求められることがほとんどです。
家族間で国籍が異なるということは社会的にも人道上も非常に違和感があるというのが主な理由です。(特に未成年の子供がいる場合など)
申請はできても,一番大切なのは帰化許可を取得すること。またスムーズに申請が進むほうが良いですよね。
法務局から指示された書類を集めるだけではなく,こういった面接対策も必要になります。
家族全員で帰化申請するメリットは?
家族全員の記載された日本の戸籍謄本が出来上がる
帰化申請した後の戸籍謄本がどうなるか,あまり気にされない方が多いのですが,これから日本国籍を取得して生きていくうえで一番最初にできる戸籍というのはすごく大切なものです。
家族全員で帰化をした場合,通常は父が筆頭者となり母,そして子が順番に記載されます。(もちろん希望にもよります)
父母が一緒に帰化しているため,子の父母欄には帰化後の父母の氏名が記載されることになります。
お一人だけで帰化申請された場合,ご自身おひとりだけの戸籍が出来上がります。(結婚して日本人配偶者がいる場合や養親がいる場合などを除く)
筆頭者は自分になり,父母が帰化していないのであれば,父母欄はそのまま父母の本名が記載されます。
後から父母が帰化申請をしても,勝手に子供が父母の戸籍に入籍することはなく,家族全員のはいった戸籍にしたい場合,入籍の手続きが必要になってきます。
身分関係の確定がスムーズ
帰化申請をするうえで書類を集めるということはもちろん大切なのですが,集める書類が多すぎて,「書類さえ揃えば大丈夫」だと思ってしまう方がたくさんいます。
実際は書類を集めて,その内容について審査がされるのでいくら書類を集めても内容に問題があれば審査は難航してしまいます。審査の中でとても重要なのが「身分関係の確定」です。申請者の父が誰で,母は誰で,何人兄弟の何番目なのか?こういった事項を確定し,正確な戸籍謄本を作ることが審査段階で重要になってきます。
父母や兄弟姉妹が一緒に帰化申請をする場合,この身分関係の確定がスムーズに進むことが多くあります。
家族一緒に申請をしているので,父が誰なのか母が誰なのか,父母の書類も一緒に審査をすることになります。
費用の負担が軽減される
家族で申請する場合,申請者の方にとって直接メリットが大きく感じられるのは申請にかかる費用負担についてです。
例えば,4人家族の中の一人が帰化申請し,自分一人の申請のために他の家族3人分の書類を集め,一人だけ帰化許可になった場合。
その後,残る3人の内の全員又は誰かが帰化申請したい!となった場合はもう一度同じ手順を踏んで3人分の書類を収集し,申請書類を作成する必要があるのです。
一緒に申請すれば1回で済んだ書類も,分けて申請をするとその度に集めなおさなければなりません。
また,韓国戸籍の収集と翻訳であれば,翻訳費がもう一度発生してしまいます。帰化申請の翻訳は韓国籍の方の場合膨大な量が発生します。何度も何度も翻訳費用を払うのは申請者にとって大きな負担となります。
(当事務所では帰化申請とセットでご依頼いただく場合,費用負担の軽減が可能です。また当事務所で帰化された方の親族が後日帰化申請する場合,翻訳データがあるものについては費用を頂戴しておりません。)
未成年の子も帰化申請できる
帰化申請の実務においては,外国人の未成年者が父又は母とともに帰化申請をする場合,父又は母の帰化が許可されれば,その子は日本国民の子となることから,「国籍法第8条第1号」に該当するものとして申請が認められています。
しかし,20歳未満の子,例えば19歳の大学生の子が就職活動前に一人帰化申請をしたいといった場合,20歳未満で要件を満たさないとされれば申請自体がそもそもできなくなってしまいます。そのため,この場合は父又は母が一緒に帰化申請をする必要があります。
帰化申請中に出産したら?
帰化申請中は基本的には状況が変化しないほうが良いとされています。
お仕事が変わったら法務局への報告や書類の提出が追加で必要になりますし,転居した場合は新しい住民票を提出する必要があります。
変化があるごとに法務局への報告が必要になり,その部分については再度審査がなされるので,許可までの時間も長引く可能性があるからです。
帰化申請中に出産時期が重なる場合は,恐らく申請時点で妊娠が判明しているケースがほとんどです。(審査期間が一般的に8~10ヵ月程度のため)
そのため,申請時点で出産予定を伝えておき,出産後にお子様の出生届記載事項証明書や戸籍謄本など出生の事実が分かる書類,住民票などを追加提出します。
在日韓国人の男性と在日韓国人女性の間に子供が生まれた場合,子供の国籍は?
出生時点ではお子様の国籍は韓国であり,両親が帰化許可になったからといってお子様の国籍が自動的に日本国籍になるわけではありません。
お子様もご一緒に帰化申請をご希望される場合,出生後に追加でお子様の帰化申請書類を提出することができます。
そして,ご両親が帰化許可になると同時にお子様も帰化許可となり,ご家族全員で日本国籍への帰化が可能です。
帰化後の戸籍謄本も,家族全員が記載された戸籍が出来上がることになります。
面接時期が臨月と重ならないか心配
申請してから3~4か月程度で面接があります。しかし出産予定時期によっては,面接時期と出産時期が重なることも十分あり得ます。
申請時点にあらかじめ出産予定時期をお伝えしておくことで,面接時期を前後に調整していただくことが可能です。
(もちろん法務局の担当官のご状況によって前になるか後になるかは異なりますが)
帰化後の戸籍がどうなるのか心配
日本人と外国人の夫婦で片方が帰化申請をする場合,お子様がいるといないで一番最初にできあがる戸籍の順番が変わってきます。
日本人夫と外国人妻の場合,夫一人しか記載されていない戸籍に妻が入籍することになりますので,夫が筆頭者でありその次に妻が記載されます。
しかし,夫婦の間に日本人の子供がいる場合,夫の戸籍には子供がすでに入籍しています。
そのため,帰化後の戸籍の記載の順番は筆頭者である①夫 ②子 ③妻 といった順番になります。
少し違和感を感じるかもしれませんが,転籍や改製がされるタイミングで①夫 ②妻 ③子という一般的な順番に戻ります。
改製を待てない,早く順番を変えたい!と希望される方の場合は転籍をお勧めしています。
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