中国の身分関係制度について②戸籍制度
今回は,先日のブログ記事の続きをお伝えします。
前回は,中国の身分登録制度についてご紹介しました。本日は,中国の身分関係制度のもう一つの重要な制度,「戸籍制度」についてご紹介します。
1958年1月9日施行された「中華人民共和国戸籍登記条令」を中心に,中国の戸籍制度が形成されました。
戸籍関係の所轄官庁は,身分登録と同様に公安機関(公安局や派出所)とされています。ただし,現役軍人については,所轄は軍事機関になります。戸籍登記手続きについて,基本各家庭で自ら行わなければならないのですが,大学の寥に居住する大学生等は,大学等の担当者が取りまとめて手続きを行う場面もございます。また,農業等の組合でも,組合で担当者を指定し,まとめて登記手続きを行うケースもございます。
自分の戸籍を証明する文書として,世帯ごとに「戸口簿」を1冊保管します。この「戸口簿」は,中国人にとっては最も有力な身分証明文書です。身分証の取得はもちろん,各種公証書の発効や婚姻,離婚,養子登記,子供の入学,住宅の購入等の場面でも求められます。
また,中国の戸籍管理制度では,「農村」「城市」(都市)といった二元的な管理制度を取っており,社会保障や,教育を受ける場面では異なる制度を設けています。また,「農村」から「城市」(都市)への移動も厳しく制限されているので,日本のように自らの意思で本籍地や住所を選択することは極めて難しいです。近年,一部の地域では,戸籍制度の改革計画が発表され,農村戸口と城市戸口の区別をなくす動きも見られますが,いわゆる「戸籍による格差」は,依然として根強く残っていると言えるでしょう。