厳しくなりつつある? 永住権申請と年収
最近,永住権の申請で,必要となる年収の基準が厳しくなってきている? と感じることがあります。
確かに,2019年7月以前は収入証明(所得・課税証明書)が3年分でよかったのが,2019年7月からは5年分必要となりました。
その意味では,既に3年前から厳しくなっています。
ただし,そうはいっても重要視されているのは最近の3年間で,4年前・5年前の年収は,最近の3年間に比べると重要度が少し低いように感じていました。
永住許可申請でいう生計要件とは,安定した収入を継続的に得ることが出来ているかどうか,が一つのポイントとなっています。
そのため,ざっくりといえばどれくらい年収があるのか,それは何年間続いているのかがポイントになります。
この,必要とされる年収の基準が少し上がっているように感じています。
入国管理局からは,年収は〇〇〇万円以上必要とはっきり教えてはくれませんが,当社で行っている永住申請や,お客様から相談を受けた際の話などをふまえると,特に今年から厳しくなったように感じています。
ここからは,実際に入管からはっきり言われたわけではないので私の個人的な見解となりますが,年収の基準が変わり得る要素として,世間的な平均年収も関係してきているのではと思います。
例えば,最近は毎年のように最低賃金が改定されています。
大阪府でも,2018年の最低賃金は時給936円でしたが,2022年は1023円になりました。4年間で約9.2%最低賃金が上昇しています。(出展:大阪府最低賃金の推移 https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/jirei_toukei/saitei_chingin/saitei.html)
大卒の新卒者の初任給も,全業種・全事業規模合計の平均で,大阪府での2018年の平均は21万7千円でしたが,2022年は平均22万5千円となっています。
ボーナスも含め考えると,4年前に比べて,10~12万円程,平均年収が上がった計算です。
(出展:新卒採用時賃金情報(大阪府) https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/jirei_toukei/saitei_chingin/sinsotu.html)
入国管理局が実際にどういった要素で永住申請の年収の基準を決めているのかは分かりません。
ただ,毎年変わらないものではなく変化していると思われること,そして変化する際に参照するデータとして平均賃金の上昇幅も一つのポイントになっているように思います。
最近の物価高や最低賃金の上昇などをふまえ,年収が安定しているといえるかどうかと考える基準が,以前よりもより厳しくなってきていると感じました。
余裕をもって年収の基準をクリアしそうな方は特に心配する必要はないと思いますが,ボーダーラインぎりぎりと考えられる方は今後注意した方が良いかもしれません。