特定技能ビザと支援業務
特定技能ビザの開始がせまり,色々と問い合わせを頂いております。
特に,技術・人文知識・国際業務といった今までの就労ビザと大きく異なる点について,注意点をお伝えできればと思います。
特定技能ビザ以外のビザでは,学歴や職務経歴など今までの知識や経験が前提となっているものが多いですが,特定技能ビザでは,各業種ごとに行われる技能試験への合格と,一定の日本語能力を証明できれば,学歴や職務経歴は条件とはなっていません。なお,技能実習2号を満了する方が同じ業種で特定技能ビザへ移行できる場合は,試験への合格と同等レベルがあるとみなされるので,試験を受ける必要もありません。
そのため,今までの就労ビザの取得が難しかった,例えば高校卒業でその後の職務歴が短い方でも,試験にパスすれば特定技能ビザ取得の可能性はあります。
もう一つの違いは,雇用する受け入れ機関に支援体制が求められる点だといえます。
特定技能ビザ以外の就労ビザでは,日本人を雇用する場合と同じく,労働関係法令を遵守し適切な労働条件で勤務させることと,日本人の従業員と同等額以上の給与が求められていました。
しかし,特定技能ビザの場合は,これらに加えて働く外国人に対する支援体制の準備が必要となります。
支援の内容としては,職務生活上,日常生活上,社会生活上の支援が必要とされていますが,主な支援は以下のような内容です。
①日本への入国前,又は在留資格の変更前に,特定技能契約の内容,活動内容,上陸・在留のための諸条件,注意事項などの情報提供を実施すること
②外国人が出入国する空港や港で外国人の送迎をすること
③外国人が締結する賃貸借契約に基づく債務に関する保証人になること,その他住居確保のための支援,銀行口座開設,携帯電話契約,その他生活に必要な契約に関する支援をすること
④日本への入国後,又は在留資格の変更後に,日本での生活一般に関する知識,入国管理局や役所への届出などの手続きに関する知識,相談または苦情の申し出に対応する者の連絡先,相談又は苦情の申し出をすべき公的機関の連絡先,外国語対応可能な医療機関の情報,防災・防犯に関する知識,急病などの緊急時対応の知識,入管法や労働関係法令に違反していることを知ったときの対応方法や法的保護に必要な情報を提供すること
⑤日本での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること
⑥外国人から相談または苦情の申出を受けたときは,それに適切に応じるとともに,助言,指導などの措置を講じること
⑦外国人と日本人の交流促進の支援をすること
⑧外国人の責任なく,特定技能雇用契約を解除する場合,再就職を支援すること
⑨外国人と監督者が定期的に面談すること
このように,様々な項目で支援内容が定められています。また,この各項目の中でも,義務的支援と任意的支援といって,必ず行うべきものと,行った方が望ましいものが分かれています。
そのため,特定技能ビザで外国人を受け入れる企業,及び登録支援機関は,どの様な支援体制を準備するべきか,その理解が大切だといえます。